Kiichiro Yanagitani 写真家&編集者 柳谷杞一郎 紀一郎

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取材交渉能力

最近の「写真の学校」の写真集づくりは、少々事情が変わってきている。

生徒たちの多くは、なにがなんでも商業カメラマンとして成功するという気持ちがない。

 

「写真の学校」での写真集づくりは、生徒たちに企画立案能力、取材交渉能力を身につけさせたいという狙いもあるのだが、かなりの生徒たちがそれをのぞまない。

 

商業カメラマンとしての成功ではなく、アーティストとしての成功を夢見ているからだ。

 

マスコミ相手に熾烈な戦いをしていくよりも、シロウト相手に楽な気持ちで仕事をしていきたいらしい。

 

「それだと楽かもしれないけれど経済的には恵まれない可能性が高いけど、いいの?」と訊くと、迷いなく「お金はいいんです」と答える生徒が多いのだ。

 

僕自身は、安定していた編集者としての仕事を捨て、カメラマンで食べていく決心をしたのが33歳のときである。すでに養っていかなければならない家族がいた。

 

「お金のことはいいんです」と言える立場ではない。編集者時代よりも稼がなければならない、という強い決意を持ってスタートした。

 

取材交渉能力と近い営業・プロモーション能力がフリーのカメラマンとしての成功の条件である。

 

もともと取材が楽しいと思っていたから、編集者になったのだ。

 

あたらしいもの、興味深いもの、魅力的なもの、に出会える喜びこそ編集者の醍醐味のひとつである。

 

でも、あたらしいもの、興味深いもの、魅力的なものが、なにもしないでいても目の前に現れてくれるわけではない。そのための下準備こそが取材交渉なのだ。

 

フリーで生きていくためには編集者だけでなく、カメラマンにとっても取材交渉能力は極めて重要である。

 

しかしながら、今多くの若者は取材交渉を含むすべての交渉事が嫌いである。

 

というわけで、最近の「写真の学校」の写真集づくりは困難をきわめているのだ。

 

で、「ぼくたちの論語」は取材をともなわない写真集になったというわけである。

 

取材をともなう写真集作りの現場の顛末についてはまた次回。

 

(2014.01.15)

 

 

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柳谷杞一郎 写真

柳谷杞一郎

Kiichiro Yanagitani

1957年広島生まれ。写真家&編集者。続きを読む...

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